歯医者が考える正しい歯医者の選び方(インプラント編)
インプラント
注)重度の骨粗しょう症などの特別な事情でインプラント治療ができない場合は別です。
歯を失ってしまった場合は、インプラント治療以外のすべての選択肢がほかの歯にダメージをかけてしまうなど、1本歯を失ってしまったことによる負の連鎖が発生します。例えばブリッジは、歯を失ってしまった場所の両隣の歯を削って、ワンピースのブリッジをセットします。本来削らなくて済む歯を削るのは、もちろん歯にとって大ダメージですし、菌もたまりやすいし、その削った2本の歯に、3本分の噛む力がかかるので、その2本の歯の一生もつ可能性を大幅に減少させます。
インプラントは周りの歯やお口全体に与える悪影響が最も少なく、持久力と咀嚼能率が高い治療方法です。人工的な歯ではありますが、失った歯をもう一度手に入れることで、歯を失う前の快適な口腔環境を取り戻すことができます。
インプラントの選び方
実際に使用される「インプラント体」にもさまざまなブランドがあり、世界中に約900個ものブランドが存在します。900もあればものによって、品質も原価も大きく異なります。インプラント治療の品質が気になる方は、どのようなインプラント体、被せ物が使用されるのかを事前に確認されることをお勧めします。
インプラントは「一生虫歯になることはありません」。しかし、インプラント周囲炎(インプラントの歯槽膿漏)やインプラントの破折は予防する必要があります。それらを防ぐためにはまず一番大事なのは、術者の技術力。どこの位置に適正にインプラントを埋入することができるかが大事です。そして「患者様一人ひとりにあったインプラント、被せ物」を使用する必要があります。インプラントの品質は、素材はもちろん実際に使用される被せ物を製作する技工所の技術力によって大きく左右されます。優秀な技工所の加工料金は格安の業者に比べると高額となることが多いですが、上記のインプラント周囲炎や破折を防ぐ可能性は高まります。
インプラントが得意な歯科医院の特長
インプラントは安価ではありませんが、自分の歯を取り戻し、安心を買う治療です。インプラントのメリットを享受できる品質の高いクリニックで治療を受けられることをお勧めします。
インプラントのOPEの時間、術後の腫れ、痛みは術者により全然違う
もし「インプラントは難しい処置だから、OPE時間もかかるし、痛み腫れが出る」という説明を受けたとしたら、それは間違っています。
まず、手術にかかる時間についてですが、熟練したドクターが手術を行う場合、簡単な症例であれば10分を切ります。また、難症例でも20分前後で完了します。これは、「治療が雑だから早い」のではなく、最適な位置に最小限の骨の切削で手術を行うため、短時間での手術が可能になります。最適な位置に最小限の骨の切削で行う手術は術後の痛みや腫れも少なくなります。熟練していないドクターが手術を行うと、無駄な骨の切削が出てしまったり、判断や切削に要する時間が長くなってしまうために手術時間が長くなり、術後の痛みや腫れも出やすくなります。
インプラント治療をうける医院を選ぶポイント
症例数、実績が多い
スポーツにおいても仕事においても言えることですが、年間100回経験する人と、年間10,000回経験する人とでは、熟練度も、経験から得られる知識も大きく異なります。
きちんとした説明を受けられる
患者様にとって、インプラント治療は、どのような治療の仕方で、どのような仕上がりになるかが説明の段階でわからないと不安ですし、インプラント治療は特に患者様と歯科医師の信頼関係が重要です。わかりやすい説明を受けれるかどうか、そしてその病院、その歯科医師を信じれるかどうかはとても大事なポイントです。ゆえにインプラント治療を受ける医院の選択においてこのポイントは非常に大事だといえます。また歯科医師のレベルの確認にもなります。きちんとした治療ができて、ちゃんとインプラント治療の経験を積んでるDrは経験が乏しい先生よりもわかりやすい説明ができるはずです。説明が下手な先生は技術力も乏しいのかもしれません。説明力と経験値は比例します。それに仮に技術はあるけど、説明が下手、もしくは説明を重視していない先生だとしたら、信頼関係を結べる内面ではないのかもしれません。
扱うインプラント、材料にこだわっている
インプラントは高額な治療ですが、今後の食生活や健康の安心を手に入れる治療です。どのブランドでどの材料を使っていくかによって、原価も違いますが、治療によって得られるものも大きく異なります。安かろう悪かろうではなく、いいものを扱っている病院を選ぶことをオススメします。
設備が充実している
「弘法筆を選ばず」という言葉がありますが、医療においては技術力の高い人が最新設備で治療を行うに越したことはありません。設備が充実している医院を選びましょう。
保証制度がしっかりしている
保証制度の内容は、その病院の治療への自信と患者様への思いやりの表れであると言えます。治療技術、品質が悪いのに保証期間を長くすると自分の首を絞めるので、保証期間の長さ、条件はその医院の治療の自信と比例するといえるでしょう。
骨造成(再生療法)を行う場合は、何の骨を使用するかも確認
まず骨の種類は非吸収性と吸収性に分かれます。
吸収性 | 非吸収性 |
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人工骨 |
豚、馬、人、自分の骨 |
自家骨は最も優れた骨補填材ですが、治療のために大きく顎の骨を削るため、侵襲が最も大きいというデメリットがあります。
吸収性の人工骨は、年月が進むと吸収される性質を持っています。吸収されると言っても「吸収されて無くなってしまう」のではなく、「吸収されて自分の骨に置き換わる」性質です。
つまり、10年後にレントゲンを撮ると、人工骨が自分の骨に変わっているのです。
当院では吸収性の人工骨を使用しておりますが、実際に骨造成を受けられる場合は事前に「何の骨を使用するのか」を確認されることをおすすめいたします。
監修・執筆
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当コラムは2019年12月12日に医療法人社団さとうDC 理事長の佐藤悠野が執筆しました。 |